監督は細田守。「劇場版デジモンアドベンチャー」「時をかける少女」の監督です。
少し前に金曜ロードSHOW!で放送していました。
私はこの金曜ロードショーを録画していたのですが…うちのHDの容量が
足りずに、終盤のめちゃくちゃ主人公の目がぐるぐるしてて
うぇええええい!ってなる瞬間で録画が止まっていて…ですね…。
うぇええええい!ってなってDVD借りてきました…笑
まさか…その後の台詞が
「よろしくお願いしまーす!」だったとは…予想外でした。
2chとかで面白くなかったとか、批評家がヒロインの夏希の
設定が薄くて感情移入が難しいとか言われていましたが…
私としましては非常に面白かったです。
■OZという世界観まず世界観。
世界のインフラがOZによって一つにまとめられ、アバターや同時通訳で
世界中の人とやりとりができ、どこにいても誰かと繋がれる。
今もFacebookやTwitterとソーシャルネットワークが流行しています。
恐らく近い未来同じようなことが実現されるのではないかと、思える世界観です。
公開当時(2009年)はまだFacebookが日本で流行る前で、実感がそれほど
感じられなかったかもしれないけれど、今見ると、より現実感があります。
実際Facebookで今まで交流が途絶えていた友達と再会したりしました。
きっと同じようなシステムが生まれると思います。
保守システムの脆弱さ故、映画の中では大混乱に落ちていくのですが
様々な方法を超えて、行き着く先はこういう未来かもしれません。
(※作中でOZの保守は世界一とうたっています)
■家族・家系という概念のクローズアップヒロインの夏希の家系が武田家臣の末裔で、少数精鋭で勝てるか
勝てないかわからない戦にがっつり乗り込む血筋です。
夏希の大叔父の陣内万助はいつもこの少数精鋭で徳川を破った
合戦の話しをしています。
都会に住んでいて、都会で生まれ育った人には縁のないことかも
しれませんが、私は田舎で育ったので、この大家族大結集というのは
かなり熱いメッセージでした。
夏希の一族はみんな国家公務員だったり医者や自衛隊から電気屋、漁師
とそろっていて何でもできちゃうんですけれど
そうじゃなくても、家族で力を合わせて何事かを起こすっていう
テーマを盛り込んでくれて、個人的に嬉しかったです。
■小さいテーマから戦争というテーマへ一番驚いたのは…この一家VS世界の人のアバターを乗っ取ったラブマシーン
で世界規模の戦争に発展したことです。
田舎の一大家族が突然世界を背負う展開になるというのは
なかなか考えようとしても考えられないことじゃないでしょうか…。
のほほんと毎日生きてる人が突然、世界を守らなくてはいけなく
なってしまうのです。
作中の女性陣も最後あたりまでは何が起こっているか把握しておらず
全員参加するのは終盤という…。
ゲームが突然現実になるという脚本展開は凄く面白かったです。
私はサマーウォーズって…何の戦争なんだろうって思ってたんですけど
意外と世界レベルでかなり驚きました。なるほどだからウォーズなのかと(笑)
良い裏切られ方でした(笑)
この旗を持った少女の仁王立ちがまさか世界レベルの戦争を
意味するものだったとは…!(笑)
■まだ負けてないこの作品で小磯健二が口にする台詞です。
ほかにも「あきらめたら解けない。答えは出ないままです」などなど
どんな苦境に立っても諦めない…!
そういうシーンが盛りだくさんでした。
何度も何度も失敗するのです。
でもそこで終わろうとしない、諦めない、他に何か策はないか
考える、そういうシーンを見せてくれました。
たとえば
カズマがキングカズマとしてリベンジするシーン
たとえば、
夏希が花札でアカウントをほとんど奪われてしまって窮地にたってしまうシーン
たとえば、
ラブマシーンにパスワードを改変されて解析に何回もチャレンジする健二
何度負けないもはっとさせられるシーンがあって見ていて楽しかったです。
■陣内栄のカリスマ性最後はおばあちゃんですかね。
政治家や警視総監まで多くの人脈を持ち、人を見極める力を持っている。
花札をこよなく愛し、家族を愛する優しいおばあちゃん。
つっぱっている侘助すらおばあちゃんのことだけは信じている。
このおばあちゃんの台詞は本当に素晴らしかった。
声をあてている富士純子さんが最高でした。
「おなかがすいているのが一番いけない」
全くその通りです。
人間の三大欲求の一つは食です。
精神を健康に保つためには食べる事が大事!
だから皆で一緒にご飯を食べるシーンがある。
それがとても素敵でした。
飢えが一番人の判断力を奪うと思うのです。
大きなストレス下におかれていない状態で一番健康を害するのが
飢えじゃないかと思います。
人は飢えによって生存するために戦い始めます。
だからご飯ってすごく大事な要素だと思うんですよね。
おばあちゃんが89歳で戦争を経験しているから
言える台詞なんだなって思いました。
「あんたならできる!そうだよ、その意気だよ!」
これもいい台詞でした。
皆励まされたいって思いながら生きてるのに
なかなか励ましてくれる人に出会えないです。
確実に信じられる人に、言われる一言はこの上なく勇気になりますよね。
■声優神木隆之介くん…違和感ありませんでした。
アリエッティの時よりも全く違和感なく主人公の声として
聞けました。女優陣の声も桜庭ななみちゃん(夏希)、谷村美月ちゃん(カズマ)
も全然気になりませんでした。
あ、仲里依紗ちゃんは素晴らしかった(笑)(高校野球を応援しているお母さん・ユミ役)
あれ?高山みなみ???って思ったくらいです。声似てると思う!
■金曜ロードSHOW!のカットシーン先日放送された金曜ロードSHOW!では高校野球シーンと
ヒロインの夏希が花札をするシーンが削られていました。
後者は絶対必要なシーンだったと思うのですがなぜカットしたんでしょうね。
一応健二がおばあちゃんと花札をするシーンはあるのですが
実際に花札をやるのは夏希なので削らないで欲しかったです。
で最後の削られたシーンは
うえぇえええい!ってなったのでわかりません
(よろしくおねがいしまーす!の手前で録画が切れる事件)
そんなわけで、2回真面目に見るくらいは好きな映画です。
キャラクタにはほとんど影がなく、背景は逆に結構書き込みがしてあったり
ロングスパンで見せる映像の使い方、アバターとアニメキャラクタの
差異とか色々な視点で見て行くともっと面白いかもしれません。
とくにOZと現実の世界のデザインが凄く違って現実はものすごく
土臭い昔ながらのアニメという感じを出していて、OZの中はシステマチック
な感じとアバターの平面的な感じが面白かったです。
あと格闘シーンを入れていたのも面白かったですね。
ゲーム性を感じました。
しかし私はどうやってもキング一カズマみたいにキーボードをかたかたしながら
戦えないです。(見栄えでああいうカチャカチャなのだろう)
これは私、お金出してみてもいいレベルで満足しました。
おすすめです。
ジブリのようにテーマがあるかないかわからないものより
起伏の在る程度あるこのような映画の方が子供にはうけるのではないかと
思います。
しかし細田守監督…「ハウルの動く城」を頓挫させていたとは……笑
ほら、「まだ負けてない!」から這い上がった張本人ですよ!!!
是非見ましょう(笑)
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